うつ病について自宅療養や薬物療法を続けることで、症状が軽減していく回復期に入ります。この時期になると、物事についての興味が湧いてきたり、何かを行なってみようとする意欲も出てくるようになったりします。
これまでの治療に専念してきた段階から、社会復帰のリハビリテーションを行なうようになるのが回復期ですが、過ごし方にあたっては注意しておきたいポイントがいくつかあります。
復帰を焦らないこと
まず、社会復帰を焦らさないことです。回復期に入ると体調も相対的に良くなっていますので、身体を動かすことについての意欲も生まれてきます。そこで、短い時間からでも外に出る機会が増えていくことで、次第に社会復帰をすることを考えるようになります。
学校を休んで療養をしている場合もそうですが、特に会社を休んで療養をしている場合、一日でも早く会社に戻って仕事をしなければという思いが強くなってしまい、心身がきちんと回復する前に通常の生活に戻ることで、うつ病が再発するというケースがあります。
回復期で心がけるべきなのは、何よりも「症状の完治」を目指すことです。
毎日の生活リズムを調整していく
回復期のリハビリテーションを効果的に行なうためには、毎日の生活リズムを少しずつ調整していくことです。自分の症状に合わせて一日のうちにできることを計画し、それらをこなしていくことで精神的な自信を積み上げていきます。
その際、簡単に行なうことができるものから実践していくことが大切ですので、徐々に難易度を上げていくようにしましょう。いきなり難易度の高い内容を計画してしまうと、精神的・身体的な疲労が大きくなり、症状が後戻りしてしまう恐れもあります。
また、回復期に特徴的なのが、日によって調子にばらつきがあるということです。前日に計画通りに全てがうまくいったからといって、翌日も同じようにいくとは限りません。
うつ病の回復期には症状が一進一退である傾向がありますので、それにつられて一喜一憂しないような心がけも大切です。患者本人だけでなく、まわりの家族や友人についても、回復期は特に長い目で症状の改善を見守る姿勢が必要です。
最も気をつけなければならない回復期
このように、うつ病の治療においてもっとも気を使わなければならないのが回復期と言えます。
ようやく出口が見えてきたという喜びもあり、患者本人だけでなく周囲もつい焦ってしまいがちですが、専門医のアドバイスを守りながら、きちんと完治するまで注意深く、丁寧に治療と向き合っていく姿勢が何よりも大切です。