現状に不満をもち、様々な欲求が満たされていないと感じている時や、耐え難い困難に直面している時に、「昔はよかったのに」とか、「将来の不安」について、いつのまにか考えてしまう様なことはありませんか?
人は、現在が充実していなかったり、苦しかったりすると、過去や未来の時間に逃げ込んでしまいます。過去や未来にこだわって、目の前の現実をどこかへ置き去ってしまうのです。まさに「現実逃避」がこれにあたります。
これは、何か辛いことや耐え難い苦しみに遭遇した際の、人間に備わっている「防御作用」であると言えるのですが、現実から目をそらし、一時的にでも問題を忘れてしまうということは、精神衛生上悪いことではありません。
しかし、いつまでも現実から逃げていては、何も解決しないということを、私達は分かっています。そして、そういった「現実の忘却」は、決して幸せな状態であるとは言えないのです。
それもわかっているからこそ、私達はもがき苦しみながらも、直面した問題を解決しようと努力し、心をすり減らして困難に立ち向かっていこうとします。自分の「今」は、紛れもなく現在にあるわけで、それは過去にも未来にもありません。苦しくても、現実を直視して今を生きていくしかないのです。
そして、様々な問題が解決に向かうと、徐々にではありますが現在が充実してきます。すると、あれほど不安であったり、辛くて苦しいと感じていた日々が、「そういえばそんなこともあったな」で済むようになります。
現状がよくなれば、不安に感じていた未来も「その時はその時」という様に、前向きに考えることができるようになります。また、今が充実していれば、「あの頃は良かった」と考えることもなくなります。
どの様な性格の人間であっても、未来に対する不安はありますし、現実から逃げ出したくなるような問題は一つや二つではありません。しかし、周りから「充実しているな」と言われるような人は、例外なく「今」を頑張って生きているのです。
今を充実させることで、過去にも未来にも逃げこむ必要がなくなります。生きづらい世の中になったと皆口を揃えて言いますが、幸いにして平和な日本では、何もしなくても「平穏な明日」がやってきます。
この事実に感謝して、平等にやってくる明日を悔いなく過ごせるように、日々を精一杯生きていきましょう。