このページでは、精神医療や福祉に携わる様々なサービス機関について説明していきます。
医療機関
精神科クリニック(診療所)
入院設備がないか、あっても19床以下で外来治療が主体の機関です。薬物療法や精神療法が受けられます。最近は、病床がなくデイケアや援護寮などの社会復帰施設を付設しているところもあります。
診療科の名称としては、精神科あるいは神経科というのもありますが、精神科という名称に対する社会的な偏見があるために心療内科や神経内科という名称をとっている機関も多いようです。
単科精神病院
精神科を専門としている病院です。入院治療・外来治療をおこない、最近はデイケアを付設する機関がふえてきました。また援護寮・グループホームなどの社会復帰施設を経営している病院もあります。
病棟は開放病棟と閉鎖病棟があり、急性期の治療から精神科リハビリテーションまで幅広いサービスを提供しています。職員には、精神保健福祉士(ソーシャルワーカー)、臨床心理士、作業療法士など多職種がそろっているのが特徴です。
総合病院精神科
内科・外科などの多くの診療科を備えている病院にあります。大学病院もその1つです。外来治療と入院治療をおこなっており、デイケアを備えている機関もあります。病床の数が多くなく、ほかの診療科と連携しながら活動するので、身体合併症の治療がおこなえます。
精神科救急
都道府県ごとに、休日・祝日と平日夜間の救急診療体制が敷かれています。1つの病院が担当していることもありますし、いくつかの病院が輪番制で担当している場合もあります。重症な場合は入院できるようになっています。担当の病院を探すには、精神保健福祉センターに問い合わせてください。
デイケア(デイ・ナイトケア)
精神科デイケアの機能は多様です。入院するほどではないが通院だけでは不安な場合、入院してだいぶよくなったが退院後も生活リズムを維持したい場合、仕事ができるように訓練したい場合、対人関係を広げたりよくしたい場合などです。
デイケアは1日6時間、デイ・ナイトケアは9時間のサービスを受けることができます。多くの精神科クリニック・単科精神病院・総合病院精神科でおこなわれています。保険診療なので、標準的な設備とスタッフが備わっています。
スタッフは、看護師・作業療法士・臨床心理士が中心で、集団精神療法・作業療法・レクリエーション療法などのプログラムをおこなっています。
福祉機関とサービス
精神疾患のなかには慢性的な経過をとるので医療に加えて福祉サービスが必要になってくる場合があります。そのようなサービスの概略を紹介します。
住居関係
自立生活ができず、ケアにあたる家族もいないといったケースで利用されるものです。精神障害者生活訓練施設(援護寮)、精神障害者福祉ホーム、同福祉ホームB、精神障害者入所授産施設、精神障害者グループホーム、アパート単身生活への支援プログラムなどがあります。病状や自立度に応じて選択されます。
職業関係
職業的な能力の向上をめざした種々のプログラムがあります。小規模共同作業所、通所型授産施設、福祉工場の3つは、回復途上の人たちが仕事をしながら生活指導を受けたり対人関係の練習をしたりする場です。職親制度もあります。
それは社会適応訓練制度とも呼ばれますが、協力事業所で仕事をしながら本格的な就労をめざすものです。
その他に厚生労働省や外郭団体がおこなっている事業として、職業安定所での職場適応訓練、障害者職業センターでの職業準備訓練などもあります。
地域生活支援センター
生活相談、自助組織活動への支援、職業生活への支援、地域との交流などをおこなっている機関です。精神保健福祉士(ソーシャルワーカー)などによる直接相談や電話相談が受けられます。1日24時間の活動をおこなっているところもあります。
その他のサービス
障害者年金
国民年金・厚生年金・共済年金などがあり初診日に加入していた年金によって種類が決まります。
心身障害者扶養共済制度
障害者本人を受取人として保護者が加入する共済保険で、保護者が死亡したり重度障害になったときに支給されます。
通院医療費の公費負担制度
外来治療費の自己負担が軽減される制度です。
障害者手帳
上記の通院医療費の公費負担や税制の優遇措置が受けられます。また公共交通機関の運賃割引や公共施設の利用料減免が受けられる自治体もあります。
自助グループと支援グループ
自助グループとしては、断酒会とAA(アルコール依存)、GA(ギャンブル依存)、DARC(薬物依存)、生活の発見会(神経症)、なるこ会(ナルコレプシー)、NABA(摂食障害)などがあります(かっこ内は病名)。また精神障害者全般のグループとして、地域単位、県単位、全国単位のグループがあります(全国精神障害者団体連合会など)。
支援グループとしては、地域単位、病院単位で家族会があります。情報提供や家族どうしの交流などがおこなわれています。全国組織としては、呆け老人をかかえる家族の会や全国精神障害者家族会連合会(全家連)などがあります。
精神保健福祉センター
これまでに紹介しました精神医療や福祉サービスについての情報のほとんどは、精神保健福祉センターから得られます。センターの役割は数多く、このような情報提供のほかに市民への精神保健の啓発活動、保健所などへの技術指導、アルコール依存症などの相談活動、自助組織の育成などがあります。