マラソンや登山、自転車競技等に代表される、有酸素運動を長時間続けるようなスポーツでは、喉が渇く前に水分をこまめに補給することは常識と言われています。喉が渇いてから水分を補給していたのでは、体力の回復が間に合わないためです。「喉が渇いた・・・」と感じたときには、すでに疲労は蓄積しており、体力の限界が近づいているということです。
疲れは確実に蓄積する
これは仕事でも同様のことが言えます。そして疲労というものは、徐々に体に蓄積されてきます。疲れにくい働き方で仕事の成果が上がるのページで「疲れは仕事に取り組み始めてから40分程で生じ始める」という研究者の報告内容を紹介しましたが、実際に仕事を開始してから40分後に疲労を感じてきた・・ということは、普通はありません。
でも、疲労は感じていなくても、疲れは確実に体に蓄積していきます。その疲れを自覚しないまま、休息も入れずに作業を続けていけば、どこかのタイミングで集中力が切れたり、急に強い疲れを感じてくることになります。
疲れは痛みや違和感となって体にサインを送ります。頭が重く、肩が凝り、腰が張ってくる。ここで初めて、自分の体が疲れているんだと自覚するわけです。
しかし、この自覚症状を感じたタイミングで休息を取ったとしても、時すでに遅し。体力は回復せず、帰宅する頃には「ぐったりと疲れた」状態となってしまいます。要するに、疲れてから休息を取っているようでは遅いのです。
自分の疲れ方を把握して上手に休息をとる
この様に、疲れは知らず知らずの内に体に溜まっていきます。そして、その蓄積していく疲れ具合というのは、行なう仕事の種類や時間によっても変わってきます。
自分の得意な分野の作業なら、疲れも比較的少なく、短時間で行う事ができるでしょう。でも、自分の不得意な分野であったり、初めて経験するような仕事をこなす場合であれば、疲労度は大きくなります。
例えば、「明日は初めて訪問する大手の会社なので、いつもより気疲れしそう・・」と分かっていれば、前日は早めに帰宅して早めに休むといった配慮が必要でしょう。
この様に、事前に休んでいくことが「疲れにくい働き方」です。そして、自分がいったいどのくらいの仕事をこなせば、どれくらいの疲れが溜まるのかを把握しておくことも重要です。自分の疲れ方が分かっていれば、「これ以上無理をすれば疲労がたまるな」とか、「この作業であればまだまだ根(こん)をつめることができそうだ」といったように、疲れ具合をコントロールすることができます。
疲れ具合をコントロールすることで、「上手な休息のとり方」がわかるようになり、先程も述べたように、「疲れにくい働き方」を実践することができるのです。疲れにくい働き方の基本は「疲れる前にこまめに休息をとる」ことです。