心の病による記憶面の症状(脳器質性精神障害など)

記憶とは、人の精神機能の中心にある大変重要なものです。精神機能に関する最近の研究成果は素晴らしく、その構造がずいぶんと解明されつつあります。

記憶は大きく分けると、見聞や学習による記憶である「陳述的記憶」と、体を使った練習や体験等で覚える「手続き記憶」があります。

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陳述的記憶

陳述的記憶には、今までに体験したことに関する記憶(エピソード記憶)と、文字などを通して学習した記憶(意味記憶)があります。

これらは言葉によって再現することが可能な記憶で、色々なテストによって測定することが可能です。

手続き記憶

一方、「自転車に乗れた」とか、「なんらかの道具を誰よりも上手に使えた」といったことができるのは、手続き記憶のおかげです。これらの記憶は言葉によって表現できません。

一般的に言って、認知症などによる記憶障害では、陳述記憶の方が手続き記憶よりも早期に障害を受けやすいといわれており、陳述記憶の中ではエピソード記憶の方が障害されやすいといわれています。

また、エピソード記憶では、最近の出来事の方から忘れていくという特徴もあります。

記銘力

そして、記憶のもう一つの重要な要素として、新しい出来事や知識を覚えていく「記銘力」があります。年をとり、物覚えが悪くなると感じるのは、この記銘力が減退しているからです。

私達の脳の中では、記銘力(短期記憶)をベースとして、くり返して入ってきた事柄を長く保持する「長期記憶」という2段階の作用によって記憶が形成されているのです。

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