ストレス社会の到来と比例して、加齢臭ならぬ「疲労臭」と呼ばれる体臭が悩みとなっている人が増えています。「季節に関係なく体臭が気になる」「体をしっかりと洗っているのに体臭が気になる」・・・といった様に、体臭に対するケアを行っているにも関わらず、臭いが出てしまうことが悩みとなっている人が増えているのです。
しかし、この疲労臭というものは、体を綺麗に洗えば洗うほど、臭いを出してしまうというやっかいな体臭なのです。
洗いすぎで善玉菌や皮脂が減ってしまう
東京・大阪でワキガ・体臭・多汗症に関する治療とケアを行っている、五味クリニックの五味常明院長によれば、体臭を気にするあまり、体をゴシゴシと洗ってしまうことで石けんに含まれている界面活性剤の働きで、皮膚に付着している善玉菌が過剰に洗い流されてしまうそうです。
そして、反対に悪玉菌である黄色ブドウ球菌が増加し、体臭の一因であるアンモニア臭が発生してしまうとのこと。
乾燥肌の人であれば、皮膚は傷つきやすい状態にありますので、ゴシゴシと洗ってしまわないように気を付けます。反対に、皮膚がオイリーである体質の人も、様々な外敵から身を守ってくれている皮脂を余分に洗い流すことで、無くなってしまった皮脂を補うために、さらに多くの皮脂が分泌され、さらに体臭がきつくなってしまいます。
どちらにしても、必要以上に神経質になって体を洗う必要は無いということです。意外なことですが、体を洗い過ぎないことが、体臭予防に繋がるということなのです。
体の内側から発生する「疲労臭」とは何か?
上記の「洗い過ぎない」ことで体臭を抑える対策は、あくまで「表面上のニオイ」に対する対策です。今回題材にしている「疲労臭」は、体の表面からではなく、体の内側から発生する臭いのことです。
では、この疲労臭を抑えるには、どのような対策を行えば良いのでしょうか。この対策に関しても、五味クリニックの五味院長が対策について触れられているのですが、そもそも疲労臭とはどのような仕組みで発生する臭いなのでしょうか?
ストレス社会と呼ばれている現在、私達は日々、様々な疲労やストレスを受けています。そして、ストレス等で体の中で疲労が蓄積してくると、血液中に乳酸とアンモニアが増加してきます。
アンモニアは通常であれば、肝臓のオルニチンサイクル(オルニチン回路、尿路回路とも)と呼ばれる代謝回路で解毒されます。しかし、疲労が蓄積したり、普段の付き合いからお酒の飲み過ぎ等で肝臓が疲労してくると、アンモニアの解毒作用が弱まり、解毒されなかった尿酸やアンモニアが汗線に放出されてしまいます。
この結果、汗にアンモニア臭が混じってしまい、それが体臭となってしまうのです。また、乳酸が分解されて生じるアルデヒド系の物質も汗のにおいを強くしてしまいます。これが俗に言う「疲労臭」と呼ばれる体臭です。
疲労臭の対策は?
疲労臭は、年齢に関係なく、若い世代でも悩んでいる人が多いと言われている体臭の一つです。では、この疲労臭を抑えるには、どのような対策を行えば良いのでしょうか?
この疲労臭は先にも説明したように、体の表面でなくて内側から発せられているものなので、デオドラントやシャワー等で臭い消すことができません。しかし、夜にじっくりと湯船につかり、適度に汗を流してリラックスすることで、疲労臭を軽減することができるそうです。
朝の出勤前に慌しくシャワーを浴びるよりも、夜間にじっくりと湯船に浸かり、血液の流れを良くしてから眠りにつくことで、体内の乳酸やアンモニアが減少して、体臭の原因が弱まった状態で翌朝を迎えることができるというわけです。
当ブログでも、一日の疲れをしっかりと取ることができる入浴はおすすめしており、寝る前に5分間だけ行なう頭皮ツボマッサージで質の良い睡眠をやストレッチ・マッサージ・入浴で疲労回復のページでも、入浴がもたらす効果を説明しています。
慌しい毎日を送るあまり、毎日のお風呂はシャワーで簡単に済ませているとい方も多いと思います。しかし、その結果、疲労が蓄積して、疲労臭の様な新たな悩みを抱えてしまう結果になってしまうこともあるわけです。
「疲れを感じたらゆっくりと湯船に浸かってみる」・・・毎日の積み重ねの中で、ほんの少しのキッカケを与えることで、慢性的に疲労が溜まってしまう現状を変えることができるかもしれません。疲労臭の対策としてはもちろん、毎日のリラックスタイムとして、一度入浴に関して意識を向けてみてはいかがでしょうか。