人は、自分が置かれている立場や状況によってものの見方や考え方が違ってくる生き物です。どれだけ自分の考え方が客観的で中立的であると思っていても、他人からみればまったくそうではないということが多々あります。
「ひとりよがり」は非常に疲れる
自分で作成した資料を見直す場合、何度見なおしても間違いに気づくことはなかったのに、他人にチェックしてもらうとすぐに誤字脱字や数字の間違いが見つかるといった場合。これは、人の手を借りたことによる利点の分かりやすい例えでしょう。
書籍やWEB制作、広告の作成等、校正(間違いのチェック)は誰かにお願いする方が良いのも、自分でチェックするよりも間違いを発見しやすいためです。
このように、人間はどれだけ頑張っても偏った見方をしてしまうものです。他人が見ることで、自分が気付かなかったミスをすぐに発見するという現象は、何事にも当てはまることです。
ここから導き出されることは、何事も「一人でやる」「自分一人で考える」という姿勢は、立派ではあれど「ひとりよがり」に陥りやすいということです。なんでも一人でこなし、責任をもって最後まで仕事を完遂(やり遂げること)する。何か困ったことがあったとしても、他人に助けを求めるのは恥ずべきことだ・・・。真面目すぎる日本人は、意識していなくとも自然とこの様な思考をもってしまいがちです。
しかし、この思考が時には自分の足を引っ張ります。自分一人でやり遂げようとした結果、納期に間に合わなくなってしまってはまったく意味がありません。間に合わなくなる前に、誰かに一声かけて手伝ってもらっていたら、そんなことにはならなかったかもしれません。
自分一人で解決しようと考えない
責任感の強い人は疲れやすいの記事の中で、「責任を一人で背負い込まない」ことの重要性を説いていますが、責任を追い過ぎてしまうことで、結果的に周りに迷惑をかけてしまうことも少なくありません。冒頭に紹介した「自分以外にチェックしてもらう」という例一つをとっても、他人の手が入ることで事がスムーズに運ぶことも多いわけです。
「自分一人の力では行き詰まってしまう壁であっても、人の手を借りることで簡単に超えて行くことが出来る」
この事実は様々な事柄に当てはまります。自分と他人とでは立場も境遇も考え方もまったく違います。だからこそ、自分一人では考えもつかなかった思考をもって、物事を簡単に解決できることも起こりえるわけです。
一人よりも二人、二人よりも三人で。そうすることで、自分一人で抱え込んでいた疲れを分散することが出来ます。しかも、分散した疲れは単純に2分の1や3分の1となるわけではなく、「疲れの軽減」にレバレッジ(てこの原理)がかかり、何倍もの作用を生み出すのです。
自分が抱えている問題に行き詰まった時は、「立場が変われば物の見方も変わってくる」という言葉を思い出し、素直に他人に相談することを考えてみましょう。自分では考えも及ばなかった解決策が飛び出してくるかもしれません。