ストレスは人間の体にとって、悪影響を及ぼし、様々な健康被害に関係していると言われています。しかし、そのストレスがいったいどのような影響を及ぼしているかは、案外気にしていないものです。
そこで、ストレスが関係していると考えられている、代表的なストレス性の病気を紹介してみたいと思います。あなたにも当てはまる病気があるかもしれません。
うつ病
ストレスによって引き起こされる病状として最も有名なのが、うつ病です。うつ病の原因として考えられているのが、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」が不足し、憂うつな気分や、不眠、倦怠感、食欲不振、焦燥感、意欲の低下を招き、重病化してくると自殺企図などの症状が現れてきます。
治療には、「SSRI」(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や「SNRI」(セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬)などの抗うつ薬が使われますが、薬の常用によって薬物依存症になってしまう等の、二次的な病気を抱えてしまう可能性もあります。
そこで、薬物治療と併せて物事の捉え方を考えなおす「認知療法」などによる心理療法も併用して行なわれ、薬物に依存しない治療法も増えてきました。
神経症
「不安」が大きくなってしまう心の病気で、過敏で神経質な性格から、一般的な人が気にしないようなことに対しても、不安になってしまい、いてもたってもいられなくなるような症状が現れます。
代表的な症状として、以下の様な症状が現れます。
- 突然強い不安に襲われる
- 不安による呼吸困難
- 動悸などの発作(パニック障害)
- 高所恐怖・会食恐怖等の恐怖症
- 強迫神経症
神経症に関しても、治療には症状に応じて「抗うつ薬」や「抗不安薬」を使い、自律訓練法などのリラクゼーション法、少しずつ不安に慣れていく行動療法などが併用して行われることがあります。
鬱病と神経症が合併して起こる場合もあり、このような場合には重病化してしまうこともあるので、注意が必要です。
心身症
強いストレスを受けた際に、そのショックが原因で健康状態が悪化する身体的な病気です。うつ病と並んで、ストレスによる影響で多くの人が経験する病状です。
代表的なものには、胃潰瘍や過敏性大腸症候群、本態性高血圧といった胃腸系や高血圧に影響がでるものから、気管支喘息、片頭痛、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症などがあり、その病気の種類は100以上とも言われます。
常にポジティブで頑張りすぎる性格の人は、仕事にしても対人関係にしても、徹底してやりすぎる傾向にあります。そして、そのようなタイプの人に、心身症は起こりやすい傾向にあると言われています。
治療法としては、体の病気の器質的な病変を検査し、その治療を行います。しかし、病変を確認できる部位の治療だけでは治療完了とはなりません。なぜなら、心身症の元となった精神的な苦痛を取り除かなければ、再発してしまうからです。
このように、精神的苦痛が大きい場合には、抗不安薬などの薬物が投与されることもあります。
その他のストレスによる症状
代表的な症状や病気をいくつか上げてみましたが、ストレスは細かく見ていけばさらに多くの影響を人体に与えます。以下に箇条書きとなりますが、その一部を紹介しておきます。
初期から現われるストレス症状
- 目が疲れやすい
- 肩がこりやすい
- 背中や腰が痛くなる
- 朝気持ち良く起きられないことがある。
- 頭がスッキリしない
- 頭が重い。
- 立ちくらみをしそうになる
- 夢をよく見るようになる
- 手や足が冷たくなることがある
- 食後に胃がもたれることが多い
慢性時に現われやすいストレス症状
- なかなか疲れがとれない
- 何かするとすぐに疲れる
- お腹が張ったり下痢や便秘がよくある
- 少しのことでイライラしたり腹が立ったりする
- 人と会うのが億劫になる
- 仕事をする気が起きない
- 口の中が荒れたりただれたりする
- 最近体重が減った
- 深夜によく目が覚めたりする
- 好きな物でも余り食べる気がしない
これらの症状は一部となり、人によってはさらに様々な症状が出る場合があります。これらの症状が認められた場合は、ストレスを感じている状態と言えますので、体を休める、精神的な負担を取り除くといったように、それ以上に頑張り過ぎないことが大切です。