うつ病の典型的な症状には、気持ちの面での症状と、身体の面での症状の2種類があります。うつ病は脳のエネルギー不足のために引き起こされますので、脳が司っているメンタル面とフィジカル面の両面において影響が出るためです。
気持ちの面での症状
気持ちの面での症状としては、とにかく気が重かったり、気持ちが沈みがちになってしまったりという「抑うつ気分」があります。
また、趣味などにおいても、これまで好きで行なってきたことに対してやりたいという気持ちを持つことができず、やっても楽しいと感じなくなってしまうという、意欲や興味の減退もあります。
職場などにおいても、与えられた仕事をテキパキとこなすことができないばかりか、短時間で集中力が切れてしまったり、その結果としてケアレスミスなどが増加してしまったりする、仕事などの能率の低下も特徴的です。
いつか失敗するのではないか、このやり方は間違っているのではないかなど、先行きに対する不安が大きくなったり、つい悲観的に考えがちになったりなど、不安や取り越し苦労が多くなるのも、うつ病の精神的な症状です。
逆に、じっと落ち着いて座っていられず、貧乏揺すりをしたりそわそわしたりするようになる「焦燥感(しょうそうかん:イライラしたり焦ること)」の状態に陥ることもあります。
さらに極端なケースでは、このまま消えてしまいたいと思ったり、「死んでしまいたい」と願ってしまう「希死念慮(きしねんりょ)」と呼ばれる症状も報告されています。
うつ病の程度が重症になると、この気持ちが実際の自傷行為につながることもあり得ますので、単なる気持ちの浮き沈みとして放っておくべきではありません。
身体的な症状
一方、身体的な症状としては、布団に入ってもなかなか寝つくことができなくなったり、逆に眠り過ぎて決めた時間になかなか起きることができなくなったりなど、睡眠障害が起こることがよくあります。
食欲が低下してものを美味しく感じなくなることもあれば、その逆にどれだけ食べても満足することができず、過食症状が見られることもあります。
日常生活においても常に倦怠感に見舞われたり、肩や首が凝り固まったり、ひどい頭痛に頻繁に襲われるようになったりもします。
他にも、性的な行為に対しての興味が薄れてしまい、全般的に性欲が低下していくケースもよく見られます。食べ物や飲み物を口に含んでいない場合でも、何かが喉の奥に詰まっている感じがずっとしているなど、原因のよく分からない異物感に見舞われるのも、うつ病の身体的な症状の一つです。