居眠り病やナルコレプシーが原因で、睡眠時間は足りていても日中に居眠りしてしまうという記事を書きましたが、日中の居眠りには他にも様々な原因があります。そのなかでも特に注意したいのが「睡眠時無呼吸症候群」です。
太っている人に多い睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、居眠り病やナルコレプシーと同様に、「ぐっすりと眠った感じ」がしません。熟睡できていないので、一日中体がだるく、頭がすっきりとせず、居眠りをしてしまいます。
トラックのドライバーが事故を起こした際、この「睡眠時無呼吸症候群」が原因で、「居眠り運転」をしてしまったという例があります。また、電車の運転手がこの症状で、あわや大惨事となりかけた例がニュースでもありました。
そして、ナルコレプシーが脳内の神経伝達物質の異常で引き起こされる病気であるのにたいして、睡眠時無呼吸症候群は睡眠時に呼吸がしばしばできなくなることによって熟睡できないことからくる症状です。
呼吸が出来なくなる要因としては、肥満などのために首の周りに脂肪がたまり、その脂肪が呼吸する際の空気の通り道である「上気道」を塞いでしまうことが原因です。睡眠時は首がやや前へ折り曲がった状態となるので、起きている時に比べて、この上気道が狭くなるのです。このことからも、睡眠時無呼吸症候群と診断される人は、太っている人が多い傾向にあります。
しかし、太っているだけが原因ではなく、太っていなくても、舌が大きかったり、鼻が曲がっていたり、扁桃腺が腫れているといった理由でも、睡眠時に上気道を塞いでしまうことあります。そして、上気道を塞いでしまうことによる「大きなイビキ」も、睡眠時無呼吸症候群の特徴でもあります。
「イビキ」は「苦しい」のサイン
イビキをかいていると、よく眠っている証拠だと思われがちですが、そうではありません。上気道が塞がれてしまうことで、十分な空気が肺に入っていかないので、正しくは「苦しんでいる」のです。そして、時々イビキがぱっと止まることがありますが、この時は呼吸をまったくしていない状態です。暫くして、「ぐがっ!」と大きな声をあげて、再びイビキをかきはじめます。
睡眠時無呼吸症候群の人は、頭痛を訴える人も居ますが、この痛みは、十分な空気が体に行き渡らず、頭痛を起こしているのです。これは、しばしば呼吸が止まる事で、血中の酸素濃度が下がり、反対に二酸化炭素が増えるために、睡眠で疲れが取れないばかりか、高血圧や不整脈といった症状も引き起こしてしまうのです。
この睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーが引き起こす眠気というのは、気を失うような強烈な眠気が特徴です。疲労や寝不足による眠気は、あくびがでるようなじわりじわりとした眠気なのですが、今まで感じた事が無いような眠気に襲われた場合は、睡眠時無呼吸症候群等の病気を疑ってみてください。