強迫とは、文字通り様々なことが心に強く迫ってコントロールができなくなる状態のことで、この状態には「強迫観念」と「強迫行為」の二通りの現れ方があります。
強迫観念とは?
強迫観念とは、ある特定の考えや心配事が思い浮かぶと、一定時間その考えばかりが反復して出てくるような状態を指します。
そして、その考えを無理に打ち消そうとするとさらに不安が強まったり、自分ではばかばかしいことで悩んでいるという自覚があるのも、強迫観念の特徴でもあります。
強迫観念の例を以下にいくつか挙げてみます。
- 自宅の鍵をちゃんと閉めたか?
- ガスは消したか?
- 電気は消したか?
- 火事になるのではないか?
- 約束の時間はこれであっているのか?
- 善悪や道徳に関する過剰な心配
- 自分や他人を傷つけてしまうかもしれないという恐れ
- 汚れやばい菌等に対する過剰な心配
- 病気に関する過度の心配
こういった考えは、他人からすれば「気にしすぎ」と思われることばかりなのですが、その考えが不合理であるとわかっていても打ち消すことができません。
そして、強迫観念が強いと、次に説明する強迫行為を伴うことが普通です。
強迫行為
強迫行為とは、強迫観念と同様に、あることが気になって特定の行動を繰り返すものをいいます。強迫観念と違う点は、同じ考えを繰り返すことに加え、「同じ行動」を繰り返すということです。
その際の心理状態は、強迫観念のところで箇条書きで述べた通りです。不潔なものに触ったと思い、何度も手を洗う行為等が強迫行為の一例です。
強迫行為では、この様な行為を長く、あるいは繰り返すのが特徴で、時に通常の日常生活に支障をきたすこともあります。また、不安をぬぐうために、周りの人に同じ事を何度も確認したり、詮索したりすることもあります。
周りの人は何度同じ説明をしても、また同じ事を聞かれてしまうので、うんざりしてしまうことも少なくありません。
症状が悪化し重症になってくると、身動きがとれなくなったり、食事や排泄行為といった基本的な行為も障害されることがあります。
このような状態になると、認知症や精神病レベルの障害と間違われてしまうこともあるほどです。