摂食障害の原因と治療について

この記事の所要時間: 42

食行動の異常をペースに、もろもろの症状が加わる摂食障害は、10代後半から20代前半の女性に集中し、最近の傾向としては発病の低年齢化と高齢化、さらには男性に発症するケースが増加しているようです。

摂食障害の原因

以前は脳下垂体の機能に異常(内分泌系の異常)があることから発症すると考えられていました。確かに、内分泌機能は異常を示すことは多いのです。

しかし、これは痩せによる2次的なものであり、現在では性格的な要因、対人ストレスや低栄養状態による認知異常など、多くの原因がからんでいると考えられています。

神経性無食欲症

痩せたいという強い願望や、太ってしまうことに対する恐怖によって摂食障害となります。自分なりにかなり低いところに理想体重を設定しますので、ほんの少しでも体重が増えてしまうと、さらに体重が増えていくのではないか?と不安を感じてしまいます。

また、ボディーイメージが障害され、極端に痩せている体型が理想と感じます。なので、自分が極端に痩せていても、「痩せ過ぎである」という認識ができなくなってしまいます。

そして、神経性無食欲症の人は体重を減らすために様々な努力をします。拒食や減食に始まり、自分用のメニューを作って細かくカロリー制限を行ったり、運動欲求も強くなってジョギングや筋トレなども取り入れます。

時には薬物を利用することもあり、下剤や利尿剤などを用いて、少しでも体重を減らそうと試みます。

そして、これらの努力の結果、体重は極端に減少し、標準体重よりもかなり低い数値となるのが一般的です。

診断基準では標準体重から15%以上少ない場合を「痩せ」と設定します。標準体重の求め方は色々と方法があるのですが、日本肥満学会はボディー・マス・インデックス(BMI)が22になる体重を標準体重としています。BMIは以下の計算式で求めることができます。

BMI=体重(kg)÷身長(m)の2乗

神経性無食欲症を患った患者は、体重の減少や栄養状態の悪化による影響が色々と出てきます。

無月経や脳萎縮(のういしゅく)、内分泌異常や貧血、低血圧や低体温などです。この様な状態が思春期に起こってしまうと、成長の遅れや停止をきたすこともあるのです。

精神的な影響としては、抑うつや高揚感といった気分の変調が表れます。特に、反動的に過食になった場合、強い自己嫌悪や罪悪感が出やすくなります。

神経性大食症

神経性無食欲症とは逆に、度を越えた過食の状態に陥ってしまう状態を神経性大食症といいます。発作的な過食を繰り返し、食事のコントロールができなくなってしまいます。

そして、過食後は自分で嘔吐し、下剤や利尿剤を利用して食べたものを体外へ排出しようと試みます。

この様な過食は、神経性無食欲症の経過中に現れることもありますが、単独で現れる場合もあります。そして、この場合も太ることへの恐怖感や食べた後の抑うつ、自己嫌悪や不安といった心理状態は共通しています。

体重を維持する、あるいは減らすための努力も行います。実際の体重は、太ったり痩せたりと変動が大きくなる特徴を持っています。

摂食障害の治療

摂食障害の治療は、身体面と心理面、そして行動面の改善を目指して行うことになります。

身体面

身体面における治療行為は、神経性無食欲症の場合は特に重要で、具体的には低栄養状態の改善を目指します。

1日に摂取するカロリーを決定し、目標体重の設定、食事摂取か人口栄養かの選択、行動の制限の程度など、基本的な方針を立てます。栄養士による指導も重要で、その際は当人との話し合いの場を設けることも大切です。

また、重症な場合を除いて、強制的な治療は出来る限り避ける必要があります。

心理面

摂食障害になりやすい人の性格として、失感情症があります。これは、悩みや葛藤からくる感情的なわだかまりを言葉で表現するのが下手で、周りの意見や意向に自分を合わせようとする性格のことです。

発病すると、自己嫌悪や挫折感、空虚感が現れます。そして、身近な人(母親の場合が多い)に対して依存と攻撃を示すようになる事もあります。この様な心理状態を理解して、成長を助けるような精神療法が必要になってきます。

また、抑うつや不安が強い場合、抗うつ薬などの薬物療法も行います。最近では、神経性大食症に対しては認知療法や抗うつ薬による治療が効果的であるということがわかってきており、臨床応用が勧められています。

行動面

入院治療では行動療法を伴うことがあります。行動療法の例としては、体重の増加を小刻みに設定し、それが達成できれば行動範囲を広げたり、自由度をあげたりします。

過食の場合であれば、行動範囲や小遣いの制限を行い、嘔吐の我慢などを求めて症状改善をめざします。

この様な行動面の治療には、治療者と患者とのコミュニケーションが特に重要となります。

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