心の悩みや葛藤が体の症状となって現れる状態を身体表現性障害といいます。なんらかの病気を思わせるような症状が確認されるが、様々な検査をしても症状に対応するような異常が見つからず、症状の背景には心理的な原因があると想定されるような状態です。
この場合、症状はあたかも重大な病気があるかのように自覚され、病院を何度も受診します。しかし、医師からは体の病気ではない、あるいは病状を説明できるような診察・検査結果が得られないと説明されると、いったんは納得します。
しかし、症状が頑固に続く場合、しばらくすると「やはり病気ではないのか?他の病院で診察を受けてみよう」と考え、再受診、再々受診と診察の回数を重ねていきます。また、代替医療の利用も多い様です。
身体表現性障害に見られる症状として多いのは、消化器系の症状(腹痛や嘔吐、下痢など)、循環器症状(息切れや胸の痛みなど)、泌尿器症状(排尿困難、生殖器やその周辺の不快感など)、皮膚症状などです。
また、身体表現性障害は、症状の出かたや捉え方によって以下のように分類されます。
心気障害
頑固に持続する身体障害があり、「癌ではないか?」とか、「脳腫瘍ではないか?」といった心配に至ってしまう障害です。ほんの軽微な症状にも敏感で、心配が尽きないような状態となってしまいます。
次で説明する身体化障害が「治療」を強く求めるのに対し、心気障害では「診断」に拘るという特徴があります。診断に拘る理由としては、癌ではない、特に異常は無いと診断されることで自身を安心・納得させたいという「安心感」を得るために診断結果に拘るのです。
身体化障害
心気障害と似ているのですが、心気障害のように診断結果に対して強いこだわりがあるわけではなく、とにかく症状を緩和させたい、無くしたいという希望を強く持つという特徴があります。
自律神経機能不全
動機や発汗、口の渇き、排尿困難など、自律神経系の症状が主に出現する障害です。
疼痛障害(とうつうしょうがい)
長期に渡って強い痛みを自覚する障害で、頭痛や舌痛(ぜっつう)、胸や腹の痛み、腰痛などがよく見られる症状です。
実際に身体疾患や外傷のために疼痛がある(またはあった)が、その程度が検査所見に比べて強すぎるとうい特徴があります。言い方は悪いですが、人が感じるよりも「おおげさ」な痛みを訴えるという特徴があります。
多くの場合、その痛みによって仕事や家事などの普段の生活に大きな支障が出てしまいます。